「お客さんは何を考えて選ぶのか」野菜を作る時、そのことをいつも基準に考えてきました。市場で一番人気の野菜の品種は、流通のしやすさや保存性の高さなどで選ばれていて、必ずしも“おいしい”野菜ではないことに気付いてから、お客さんが本当においしいと喜んでくれる、“味”にこだわりのある野菜を作ろうと、試行錯誤しながらやってきました。すると、指名買いが増え、売場から売り切れてしまうような野菜が作れるようになり、手応えを感じました。それが、郡山ブランド野菜の第1品目となる、枝豆「グリーンスウィート」でした。

仲間たちに声を掛け、ここから「郡山ブランド野菜」作りが始まりました。
味わいと、栄養価、郡山の土地に合った品種を、全て200〜300種類ほどの中から吟味して1年に1度たった1つ選び出しています。本当においしい野菜を作り、「これはただの人参じゃない。300種類の中から選んだ渾身の人参なんだ」と伝え食べて頂くことで、お客さんに喜んで頂き、また農家も収益性をあげていく。 それは、関わる人皆が楽しみながら、農産物の価値を高めていくことができるのではと感じています。食を通して人が感動してくれるようなうねりを作っていきたいと思っています。

 しかし、これらは、1人ではできません。農家はもちろんのこと、食材の魅力を最大限に引き出してくれる料理人の方々や、食べてくださるお客さんなど、皆でタッグを組み、食を通して農業を変えていくステージをつくることが必要だと感じています。郡山には、そのステージができ始めています。食を通して広がる多様な人たちとのつながりを大切にして、日本随一の食の生産地となるべく切磋琢磨し、皆さんをお待ちしています。



郡山ブランド野菜協議会

  • 平成19年、郡山農業青年会議所に於いて今後の方向性を模索する中、ブランド野菜についての検討を開始。執りうるブランド野菜の取組みにもいくつかの選択肢があった。 たとえば、京都の京野菜や金沢の加賀野菜等を参考に、地元に昔からある地野菜を育てていく事や、種苗メーカーが毎年開発している新しい作物・品種から選定する事等である。議論を重ね、郡山農業青年会議所として、新しい品種から新しいブランドになりうる品種を選択し、育成していく事に決定する。
    次に、ブランド野菜として成り立つ為の条件を設定した。 農薬使用等、安全はいわば「あたりまえ」の事とし、その上での付加価値を得られるよう意識を徹底。 形の揃いや保存性など、いわゆる”市場向け”であることよりも、本当においしい品種であることを重視。
    おいしさをブランドとして成立させるため、栽培方法の統一、生産履歴の徹底を行い、品種・生産者によるぶれを解消。
    収穫から販売までの時間・鮮度の厳守。
    継続して施肥設計や現地検討会や栽培勉強会を頻繁に開催。それらをはじめ、出荷前の目揃い会等を行い、高い品質の管理・維持に努める。

  • 平成23年、東日本大震災とそれに伴う原発事故の発生により、福島・郡山の農家はもとよりブランド野菜も厳しさの中にもあらたな取組みが必要となった。郡山青年会議所とあおむしくらぶの会員で意見を幾重にも交換し、3つの取組みを行うことにした。

     1. 安全性を徹底的に公開、「失わされた信頼」を取り戻す
     2.今まで通り技術を磨き、替えのきかない価値を生み出す
     3.取組みについて、積極的に情報発信する

    放射性物質検査はすでに「営農の一部」となった。それをWebサイト上に公開し、活動内容にも触れていただくきっかけとした。

  • これらの取組みの中、郡山農業青年会議所とあおむしくらぶの有志により、ブランド野菜に特化した組織「郡山ブランド野菜協議会」が発足。
    震災後の行政支援の受け皿となり、将来的には法人化、機械利用の共同化や財産管理を視野にいれて活動している。

    前出の「今まで通り技術を磨き、替えのきかない価値を生み出す」活動から、平成24年、新たな郡山ブランド野菜を世に送り出す取組みを再開。

    一般の方に向けたブランド野菜の試験圃場での栽培体験や収穫体験、新ブランド野菜のネーミング募集など、郡山市民を始めとした皆様に親しまれる郡山ブランド野菜となるべく、活動を展開中。
    メディア掲載機会が増加、昨年安倍内閣総理大臣が来福された際、郡山ブランド野菜の活動をご覧いただきご賞味頂くなど、取組自体の注目が高まっている。

  • ・グリーンスウイート(えだまめ)
    ・御前人参(ニンジン)
    ・ささげっ子(インゲン)
    ・佐助ナス(ナス)
    ・冬甘菜(冬じめキャベツ)
    ・ハイカラりっくん(中ねぎ)
    ・緑の王子(ホウレンソウ)

    「御前人参」は、野菜の目利きたる野菜ソムリエや青果販売業者が審査員の野菜品評会、第5回野菜ソムリエサミットの食味審査・蒸し部門にて全国24組中2位に輝き、全国的にも郡山ブランド野菜が注目を集めつつあった。

  • ・おんでんかぼちゃ(カボチャ)
    ・紅御前(ニンジン)
    ・めんげ芋(サツマイモ)
    ・万吉どん(タマネギ)
    ・あこや姫(カブ)
    ・とうみぎ丸(トウモロコシ)

    平成25年度の新ブランド野菜「めんげ芋」は、第16回野菜ソムリエサミット購入評価部門にて全国三位入賞。

  • 鈴木 光一

  • 会長
    鈴木農場・伊東種苗店代表。郡山市農業委員、福島県指導農業士、種苗管理士、シードアドバイザー。著書に『野菜品種の選び方』。

  • 熊田 吉秀

  • 副会長

  • 富塚 弘二

  • 副会長
    元郡山農業青年会議所会長。元JA福島県青年連盟委員長。福島県指導農業士。

  • 橋本 一弘

  • 会計

  • 藤田 浩志

  • 事務局長
    郡山の農家の8代目。日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエ。「うつくしま復興大使」。日本青年会議所「人間力大賞2012復興創造特別賞」受賞。

  • 鈴木 清美

  • 事務局次長
    鈴木農園・まどか菜園代表。主軸を置くなめこ栽培で出たおがくずを再利用し、野菜を栽培。

  • 濱津 洋一

  • 監査
    郡山市農業委員。

  • 中田 孝則

  • 監査